AI画像が思った絵にならないときの直し方
AI画像生成ツールを使っていると、思い描いていたイメージとはまったく違う絵が出てくることがあります。指示文を直しても直しても近づかず、少しずつ言葉を足していくうちに、かえって結果が散らかってしまったという経験を持つ人は少なくないはずです。
この記事では、プロンプトの書き方の基礎や各ツールの始め方には触れません。すでに指示文の作り方を知っていて、ツールも使い始めている人が「思った絵にならないとき、次に何を確認すればよいか」を整理するための内容です。プロンプトの基本を知りたい場合はAI画像生成ガイドから関連記事をたどってみてください。
うまくいかないのは指示が下手なせいではありません
思った絵にならないと、つい「自分の説明が足りないのだろう」と考えて、指示文にどんどん言葉を足していきたくなります。ですが実際には、うまくいかない原因はいくつかの決まった型に分かれていることが多く、型を見分けずに言葉を書き足すと、かえって狙いから遠ざかってしまいます。
型としては、指示が抽象的すぎて解釈の幅が広がっている場合、逆に一度に詰め込む要素が多すぎて競合が起きている場合、「〜を入れないで」という否定形の指示が効きにくい場合、そもそもその構図や題材が生成の苦手な領域である場合、そして参考になる画像や資料を渡していない場合があります。まずは自分の状況がこのどれに近いかを考えるところから始めると、直し方の見当がつきやすくなります。
たとえば同じ「人物の絵が思ったふうにならない」という悩みでも、雰囲気そのものが毎回変わるなら指示が抽象的すぎる型に近く、表情や服装は合っているのに手や指だけが崩れるなら生成が苦手な領域の型に近い、というように、症状の出方によって疑うべき型は変わってきます。原因の型を先に見当づけてから指示を直すのと、見当をつけずに思いつくまま言葉を足すのとでは、同じ回数だけ直しても近づき方がまったく違います。
症状から原因を見分ける表
同じ「思った絵にならない」という結果でも、症状によって疑うべき原因は変わります。次の表を、指示文を直す前のチェックに使ってください。
| 症状 | 考えられる原因の型 | 見直す方向 |
|---|---|---|
| 毎回まったく違う雰囲気の絵が出る | 指示が抽象的すぎる | 雰囲気を言葉だけでなく具体的な状態で説明し直す |
| 指定したはずの要素が入らない、または勝手に増える | 要素を一度に詰め込みすぎている | 要素を絞り込み、優先したいものから順に書く |
| 構図や視点が指示どおりにならない | 視点の指定があいまい、または競合している | 見せたい距離感・角度をひとつだけ明確に書く |
| 人物の手や指、細かい部分が破綻する | そもそも生成が苦手な領域である | 生成し直すより、手で直す判断も検討する |
| 画像の中に入れたい文字が正しく出ない | 生成が苦手な領域である | 文字部分は後から編集ツールで足す |
| 色や明るさが指定と違う | 参照になるものを渡していない、または否定形で指定している | 望む色味を具体的に書く、または参考になる画像を渡す |
一つの症状に複数の原因が当てはまることもあります。表はあくまで見当をつけるための出発点として使い、実際に一箇所ずつ直しながら確かめていくのが確実です。
「入れないで」ではなく「こうしてほしい」を書く
うまくいかない結果を見て、つい「これを入れないで」「これはやめて」という否定形の指示を足したくなりますが、除外の指示は望んだとおりに効かないことがよくあります。指示から何かを引き算するよりも、望む状態をそのまま書き足すほうが伝わりやすい傾向があります。
たとえば背景がにぎやかすぎて困っているなら、「背景をにぎやかにしないで」と書くよりも、「背景は静かでシンプルにしてほしい」のように、最終的にどうなっていてほしいかを書き直します。表情が硬い場合も、「硬い表情にしないで」ではなく「穏やかに微笑んでいる表情にしてほしい」と、望む状態を主語にして書くほうが伝わります。除外したい気持ちはいったん脇に置き、代わりに手に入れたい状態を言葉にする、という発想の転換が効果的です。
直すときは一つずつ変えて、どれが効いたかを確かめる
思った絵に近づけたいとき、一度にいくつもの部分を書き換えたくなりますが、それをやると次にどの変更が効いたのか分からなくなり、良くなったのか悪くなったのかの判断もつかなくなります。遠回りに見えても、変える要素を一つに絞り、結果を見てから次の一つに進むほうが、結局は早く狙いに近づけます。
要素を絞って指示を詰め直し、もう一度生成してみるという工程は、地道ですが効果を実感しやすい直し方です。ツールによって指示の詰め方や再生成の操作は異なりますので、具体的な手順は公式サイトでご確認ください。
うまくいった指示は記録しておく
一箇所ずつ試していくと、途中でうまくいく組み合わせに出会うことがあります。そのときに大事なのは、うまくいった指示文をそのまま残しておくことです。感覚的に「これがよかった」と思っても、なぜうまくいったのかは時間が経つと本人にも分からなくなります。
うまくいった指示文と、そのときの結果を並べて保存しておけば、次に似た絵を作りたいときの出発点になりますし、うまくいかなくなったときに「どこから外れたか」を後から見比べる手がかりにもなります。メモ帳でもファイル名でも構いませんので、成功した指示文を都度控える習慣をつけておくと、試行錯誤の記録が積み上がっていきます。
生成し直すか、手で直すかを見極める
指示を工夫しても、細部の破綻や文字の乱れはなかなか直らないことがあります。こうした部分的な崩れは、生成をやり直すよりも、画像編集ツールで該当箇所だけを直したほうが早く済む場面が少なくありません。
見極めの基準は、崩れている範囲が画像全体に関わるものか、一部分に限られているかです。構図や雰囲気そのものが違う場合は指示を見直して生成し直すほうが近道ですが、指や文字など狭い範囲だけが崩れている場合は、その部分だけを編集ツールで修正するほうが早く、全体の雰囲気を壊さずに仕上げられます。
破綻した部分だけを描き直したり、入れたい文字を後から重ねたりする作業は、画像編集ツールを使うと進めやすくなります。
同じ指示を書き換えても近づかないときの見切り
原因を切り分けて一箇所ずつ直しても、同じ方向の指示をどれだけ書き換えても結果が近づかないことがあります。そうした場合は、その構図や題材自体が生成の苦手な領域である可能性を疑ってみてください。
見切りをつける目安は、変える要素を変えても結果の傾向が変わらないかどうかです。言葉を変えても似たような崩れ方が繰り返されるなら、指示の書き方の問題ではなく、その組み合わせ自体が難しい可能性があります。そのときは同じ構図に固執せず、視点や題材そのものを変えてみる、あるいは写真素材やイラスト素材に切り替えるという選択肢も持っておくと、無理に指示を書き足し続けるよりも早く目的の絵にたどり着けます。
見切りをつけることは、後退でも妥協でもありません。狙った構図に近づく道が複数あるとき、いちばん時間のかかる道にこだわり続ける必要はなく、遠回りに気づいた時点で別の道に乗り換えるほうが、結果的には狙いに近い絵に早くたどり着けます。同じ書き換えを繰り返して手が止まりかけたときほど、いったん構図や題材そのものを見直す価値があります。
直す前のチェックリスト
指示文を書き足す前に、次の項目を確認してみてください。
- 症状から見て、原因はどの型に近いか見当をつけたか
- 除外の指示ではなく、望む状態をそのまま書いているか
- 一度に変えている要素は一つだけか
- うまくいった指示文を残す準備をしているか
- 崩れている範囲は画像全体か、一部分だけか
- 一部分だけの崩れなら、編集ツールで直す選択肢も検討したか
- 同じ方向の書き換えを繰り返しても近づいていないなら、構図や題材を変える選択肢も検討したか
まとめ
AI画像が思った絵にならないとき、大切なのは指示文をやみくもに書き足すことではなく、症状から原因の型を見分けることです。抽象的すぎる指示、詰め込みすぎた要素、否定形の指定、生成が苦手な領域、参照不足のどれに近いかを見当づけ、要素を一つずつ変えながら確かめていくと、遠回りに見えても結局は早く狙いに近づけます。
細部の崩れは生成し直すより手で直したほうが早いこともありますし、同じ方向の書き換えを繰り返しても近づかないなら、構図や題材を変える判断も選択肢に入れておきましょう。うまくいった指示文を記録に残す習慣も、次の一枚を作るときの助けになります。