作文をAIに見てもらうとき「自分の文章」でいる方法
作文や読書感想文を書いたあと、「これでいいのかな」と不安になることはありませんか。そんなとき、AIに文章を見せて意見をもらう方法があります。ただ、見せ方をまちがえると、提出するころには自分の文章ではなくなってしまいます。
この記事では、AIに作文を見てもらうときの分かれ目を、中学生・高校生のみなさんと、その保護者の方に向けて説明します。結論を先に書くと、AIに「直してもらう」のではなく、「どこが伝わりにくいか教えてもらう」ようにすれば、書き手は最後まで自分のままでいられます。直す手は、最後まで自分が持っておく。これがこの記事の中心です。
学校の課題でAIを使うときの全体的な考え方は、レポート・課題でAIを使うときのルールとマナーで説明しています。この記事では、その中でも作文・読書感想文に絞って、具体的な頼み方まで踏み込みます。
「全部直しておきますね」で起きること
AIに作文を貼りつけて「見てください」と送ると、多くの場合、書き換えた文章がそのまま返ってきます。「より読みやすく整えました」という言葉つきです。
読んでみると、たしかにきれいです。つっかえる所がなく、言葉もなめらかです。「これを出せばいいか」と思うのは自然なことです。
でも、その文章を提出したあとに、こんな場面が来るかもしれません。
国語の先生が作文を返すときに、こう聞きます。「この段落の、『胸の奥がざわついた』というところ、どういう意味で書いたの?」
自分で書いたつもりなら、「あのとき、試合に負けて悔しいのに、泣きたくない気持ちだった」とすぐ答えられるはずです。ところが、その表現をAIが作ったものだった場合、自分の中に答えがありません。「えっと……なんとなく……」としか言えなくなります。
これが、全部書き換えてもらった文章の問題です。読みやすくはなりますが、次のことが起きます。
- 自分が使った言葉が消えて、AIの言葉に入れかわる
- 自分の中にない表現が入るので、聞かれても説明できない
- 「この文章は自分のものだ」という手ごたえが残らない
- 次に作文を書くとき、自分の力が増えていない
作文は、提出して終わりではありません。先生と話したり、あとで読み返したりしたときに、「ああ、あのとき自分はこう考えていたな」と思い出せることにも価値があります。AIが書き手になってしまうと、その価値がなくなります。
保護者の方は、お子さんの作文が急に大人びた文章になったとき、責めるよりも「この表現、どういう気持ちで書いたの?」と聞いてあげてください。答えられるかどうかが、自分の文章かどうかを見分ける目安になります。
分かれ目は「直してもらう」か「教えてもらう」か
AIの使い方には、大きく分けて二つあります。
一つは、「直してもらう」使い方です。AIが文章を書き換えます。この場合、文章を作っているのはAIです。書き手がAIになってしまいます。
もう一つは、「どこが伝わりにくいか教えてもらう」使い方です。AIは、読者として感想や指摘を言うだけです。文章を書き換えるのは、自分です。この場合、書き手は自分のままです。
たとえるなら、友だちに作文を読んでもらうのと同じです。友だちが「ここ、ちょっと分かりにくかったよ」と言ってくれるのは助かります。でも、友だちが自分のノートを取りあげて、勝手に書き直してしまったら、それはもう友だちの作文です。
AIにも、この「読んでくれる友だち」の役をお願いすればよいのです。ただし、AIは放っておくと「親切に」直してくれてしまいます。そこで、頼み方に条件をつけます。次に、そのまま使える指示文を用意しました。
下の指示文を、作文の前に貼りつけて使ってください。「直した文章は書かないでください」という一文が大切です。これがないと、AIは書き換えた文章を出してきます。
下の作文を読んで、伝わりにくいところを教えてください。
条件:
- 直した文章や、書き換えた例は書かないでください。
- 指摘だけをお願いします。
- 「どの文のことか」が分かるように、その文を引用してください。
- なぜ伝わりにくいのかを、理由もひとことで書いてください。
- 指摘は、多すぎないように、大事なものから選んでください。
私は中学生(高校生)で、この作文は学校に出すものです。
文章を作るのは私なので、あなたは読者として感想を言う役をお願いします。
【作文】
(ここに作文を貼る)
見たい点が決まっているときは、次のように観点を変えてもよいです。
下の作文の中で、同じことを何度も言っている場所を探して教えてください。
直した文章は書かないでください。どの文とどの文が重なっているか、引用して知らせてください。
【作文】
(ここに作文を貼る)
下の作文の中で、話が急に飛んでいて、読んでいて「あれ?」となる場所を教えてください。
直した文章は書かないでください。どこからどこへ話が飛んだのか、引用して知らせてください。
【作文】
(ここに作文を貼る)
この頼み方なら、返ってくるのは「三段落めの最初の文が、前の段落とつながっていないように読めます」といった指摘です。それを見て、どう直すかは自分で考えます。
もしAIが直した文章を書いてきたら、「直した文章は書かないでくださいとお願いしました。指摘だけにしてください」と、もう一度伝えれば大丈夫です。
作文の相談相手としては、Claudeのような対話型のAIが使いやすいです。長めの文章を貼りつけて、読んだ感想を返してもらうことができます。使えるかどうかや範囲は学校のルールにもよるので、後の節で説明する確認も忘れないでください。
頼んでよいこと・自分でやること
AIに見てもらってよいことと、自分でやることを分けておくと、迷いません。目安を表にまとめます。
| 内容 | AIに頼んでよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 誤字や送り仮名の間違いの指摘 | 頼んでよい | まちがいを見つけるだけで、中身は変わりません |
| 一文が長すぎる箇所の指摘 | 頼んでよい | 場所を教えてもらうだけで、切り方は自分で決められます |
| 話の順番が分かりにくい箇所の指摘 | 頼んでよい | 並べ替えるかどうかは自分で決めます |
| 同じ言葉の繰り返しの指摘 | 頼んでよい | 直すかどうかは自分で選べます |
| 自分が何を感じたかを表す言葉 | 自分でやる | 感じたのは自分だけだからです |
| どの体験を作文に選ぶか | 自分でやる | 何を書くかが、その人らしさそのものです |
| 結論、つまり言いたいこと | 自分でやる | 作文の中心を、他の人に決めてもらうことはできません |
| 書き出しや、印象に残る表現 | 自分でやる | 自分の言葉が一番出る場所です |
見分け方は、とても簡単です。「まちがいや分かりにくさを見つける」のはAIに頼んでよく、「何を、どんな気持ちで書くか」を決めるのは自分の仕事です。
読書感想文なら、「どの場面が心に残ったか」「そこで自分は何を思ったか」は自分の仕事です。AIに「この本の感想を書いて」と頼んでしまうと、本を読んでいなくても書けてしまいますが、それは自分の感想ではありません。AIには、自分が書いた感想を読んでもらい、伝わりにくい所だけ教えてもらいます。
指摘をもらったあと、自分で直す手順
指摘をもらったら、次の順番で進めてみてください。
- 指摘を全部読む。ただし、全部は直さなくてよい。 指摘は参考です。命令ではありません。
- 直すものを、自分で選ぶ。 「たしかに分かりにくい」と思ったものだけ印をつけます。納得できないものは、そのままで構いません。
- 自分の言葉で直す。 AIの言い回しを借りず、「自分ならどう書くか」を考えます。うまく言えないときは、一度声に出して、友だちに話すつもりで言ってみると、言葉が出てきます。
- 直したあと、声に出して読む。 目で読むよりも、つっかえる所や息が続かない所が分かります。つっかえた所は、まだ直せるところです。
- 気になれば、もう一度AIに見てもらう。 直した文章を見せて、同じ指示文でもう一度指摘をもらいます。ただし、くり返しすぎると、AIの好みに近づいていくので、ほどほどにします。
この手順のいちばんの利点は、直したあとも、なぜその言葉にしたのかを自分で説明できることです。先生に「ここ、どういう意味?」と聞かれても、自分で選んだ言葉なので答えられます。
直す作業は時間がかかって面倒に感じるかもしれません。でも、この作業こそが文章を書く力を育てます。AIが直してしまうと、この練習の機会がなくなります。考える力との関係については、AIを使うと考える力は落ちるのか、自分で確かめる方法も読んでみてください。
AIの指摘を鵜呑みにしなくてよい
AIの指摘は、とても参考になります。けれども、いつも正しいわけではありません。
AIは、基本的に「読みやすいかどうか」を基準にして指摘してきます。そのため、書き手がわざとやったことまで、「直したほうがよい」と言うことがあります。たとえば、次のようなものです。
- わざと短く切った文。 「走った。ただ走った。」のような短い文は、勢いや必死さを出すためのものです。AIは「文が短く、ぶつ切りになっています」と言うかもしれません。
- あえて繰り返した言葉。 「悔しかった。本当に悔しかった。」のように、くり返すことで強い気持ちを表すことがあります。AIは「同じ言葉が重なっています」と指摘するかもしれません。
- 話し言葉に近い言い方。 自分らしい声を出すために選んだ言い方を、「硬くしたほうがよい」と言われることもあります。
こうしたときは、狙いがあるなら、そのまま残して大丈夫です。「この短い文は、速さを出したくて切ったんだ」と自分で言えるなら、それは直さなくてよい所です。
逆に、「なんとなく書いたけれど、狙いはなかった」という所は、指摘どおり直してもよい所かもしれません。つまり、AIの指摘を見て、「自分は何を狙ってこう書いたのか」を考えるきっかけにすることができます。これも文章力の練習になります。
AIの指摘を採用するか決めるのは、書き手である自分です。指摘に従った結果、文章が自分らしくなくなったと感じたら、元に戻して構いません。Geminiのような別のAIにも同じ指示文で見てもらうと、指摘の内容がちがうことがあり、「AIによって見方がちがうんだな」と気づけます。
使う前に、先に確認すること
AIをどこまで使ってよいかは、学校や先生、そして課題や応募先によって決まりが違います。作文を授業で出すだけの場合と、コンクールに応募する場合とでも、求められることは変わるかもしれません。
ですから、使う前に、先生や応募要項で確認してください。「誤字を見てもらうだけならいいのか」「指摘をもらうのはいいのか」といった具体的な質問をすると、先生も答えやすくなります。
確認するときのコツは、隠さずに聞くことです。「AIに、伝わりにくい所を教えてもらって、直すのは自分でやろうと思っています。それは大丈夫ですか」と、やり方まで伝えて聞くと、安心して答えてもらえます。
もし使ってよいと言われたら、「どこでAIを使ったか」を自分で説明できるようにしておきましょう。使ってはいけないと言われたら、その決まりに従います。そのときも、友だちや家族に読んでもらう方法はあります。人に読んでもらって、「ここ分かりにくいよ」と言ってもらうのも、同じくらい力になります。
保護者の方は、お子さんがAIを使いたいと言ったときに、学校の決まりを一緒に確認してあげてください。決まりが分からないときは、先生に聞くのが一番確かな方法です。
まとめ
作文や読書感想文をAIに見てもらうとき、分かれ目は、直してもらうか、教えてもらうかでした。
直してもらうと、文章は読みやすくなりますが、自分の言葉が消え、先生に聞かれても説明できなくなります。教えてもらうだけなら、書き手は自分のまま残ります。直す手は、最後まで自分が持っておきましょう。
提出する前に、次の点を確かめてみてください。
- AIを使ってよい範囲を、先生や応募要項で先に確認した
- AIには指摘だけを頼み、直した文章は書かせていない
- 自分が感じたこと、選んだ体験、結論は、自分の言葉で書いた
- 指摘は全部直さず、自分で選んで直した
- 狙って書いた所は、指摘されても残した
- 直したあとに声に出して読み、つっかえる所がなかった
- 先生に「ここはどういう意味?」と聞かれても、自分の言葉で答えられる
最後の項目に自信を持ってうなずけるなら、その作文は、たしかにあなたの文章です。