調べ学習・自由研究でのAIの使い方
社会の調べ学習や、夏休みの自由研究でAIを使う人が増えています。ただ「AIを使う」と聞くと、多くの人が「テーマについて質問して、答えをそのまま書いてもらうこと」だと思ってしまいがちです。実はこの使い方をすると、提出物はできあがっても、自分の中には何も残りません。発表のときに「それ、どういうこと?」と聞かれても、答えられなくなってしまうのです。
AIが本当に力を発揮するのは、答えを出す場面ではありません。調べる道筋をつける場面です。この記事では、調べ学習・自由研究のどの段階でAIに任せてよく、どこは自分でやるべきかを整理します。なお、学校や先生によってAIを使ってよい範囲のルールは違います。始める前に、先生に確認しておくことをおすすめします。
「答えを書かせる」だと何も残らない理由
調べ学習の目的は、提出物を完成させることそのものではなく、「自分で問いを立て、自分で調べ、自分の言葉でまとめる」という過程を経験することにあります。AIに最初から最後まで答えを書かせてしまうと、この過程がまるごと抜け落ちてしまいます。
抜け落ちた結果は、発表のときにはっきり現れます。先生や友達から「なぜそう考えたの?」「この数字はどこで見つけたの?」と聞かれたとき、自分で調べていなければ、何も答えられません。逆に言えば、AIをどう使っても、自分の問いを決めるところと、最後の結論を自分の言葉にするところさえ自分でやっていれば、調べ学習としての中身はちゃんと残ります。この二つを自分の手から離さないことが、この記事全体を通じての一番大事なポイントです。
段階ごとに、AIに任せていい部分と自分でやる部分
調べ学習は、だいたい次の4つの段階に分けられます。段階ごとに、AIに任せてよい作業と、自分でやるべき作業を分けて考えると、使い方に迷いにくくなります。
| 段階 | AIに任せていい部分 | 自分でやる部分 |
|---|---|---|
| テーマ・問いを決める | 問いの候補を広げたり絞ったりする手伝い | 最終的にどの問いで進めるかを決めること |
| 情報を集める | 調べ方やキーワードの見当をつけること | 実際に資料・サイト・本を開いて中身を読み、確かめること |
| 情報を整理する | 集めたメモを分類したり、比較しやすい形にしたりする手伝い | どの情報を残し、どの情報を使わないかという判断 |
| まとめる・発表する | ポスターやスライドの見た目を整える作業 | 結論の文章を自分の言葉で書くこと、発表で自分で説明できるようにしておくこと |
表の左側に共通しているのは、「作業の手伝い」であって、「中身の判断」ではないという点です。逆に右側は、どれも自分の頭で決めることばかりです。この線引きを覚えておくと、AIに聞いていい質問と、聞いてはいけない質問がはっきりします。
問いを絞る|そのまま使える指示文
調べ学習で一番つまずきやすいのが、最初のテーマ選びです。「環境問題について調べる」のように範囲が広すぎると、何を調べればいいか分からなくなります。ここでAIに「答え」を聞くのではなく、「問いの候補」を出してもらうという使い方が効果的です。次の指示文は、条件までそのまま書いてあるので、テーマの部分だけ書き換えてコピペで使えます。
テーマは「(自分が調べたいこと)」です。
このテーマについて、調べられそうな問いを、範囲の広いものから狭いものまで10個出してください。
【条件】
・答えそのものは書かないでください
・「〇〇とは何か」のような広い問いから、「〇〇はなぜ△△なのか」のような狭い問いまで、幅を持たせてください
・図書館の本や公式サイトなど、実際に調べて確かめられる問いにしてください
・出典や参考文献は挙げなくてよいです
出てきた10個の問いのうち、実際に調べられそうなものをいくつか選び、最終的にどれで進めるかは自分で決めます。ここでAIに決めさせてしまうと、「なぜこの問いにしたのか」を自分で説明できなくなるので注意してください。
AIが挙げた情報は、必ず元の資料で確かめる
情報を集める段階でAIに質問すると、関連しそうな事実や、参考になりそうな本・サイトの名前を教えてくれることがあります。ここで気をつけたいのは、AIが挙げた情報をそのまま引用元として書いてはいけないということです。理由は、AIが実在しない本や記事の名前を、いかにも本当にありそうな形で挙げてしまうことがあるからです。もっともらしく見えても、実際には存在しないタイトルや著者名ということがあります。
そのため、AIから得た情報は、次の手順で必ず確かめてから使います。
- AIが挙げた本・サイト・数字・年号をメモしておく
- その本やサイトが本当に実在するか、検索したり図書館で探したりして確認する
- 実物を実際に開き、AIが言っていた内容と同じことが書かれているかを読んで確かめる
- 確認できたものだけを使う。確認できなかったものは、無理に使わない
出典と情報の確かめ方については、AIの回答は出典にできるのかでさらにくわしく説明しているので、参考文献の書き方に迷ったときはあわせて読んでみてください。調べものの起点としては、回答に出典リンクが添えられるタイプのツールを使うと、そこから元の資料にたどり着きやすくなります。Perplexity はそうしたツールの一つです。
ただし、リンクが示されていても、それだけで安心してはいけません。リンク先を実際に自分で開き、内容が本当に一致しているかを目で確認する、という手順は省略しないようにしてください。
調べ学習で特にやってはいけないこと
ここまでの内容と重なる部分もありますが、特に注意してほしいことを三つにまとめます。
- 結論をAIに書かせる:結論は、自分が調べて気づいたことを自分の言葉にする部分です。ここをAIに任せると、発表で「なぜそう思ったの?」と聞かれたときに、自分の考えとして説明できなくなります
- AIが出した数字や年号をそのまま書き写す:AIは数字や年号を、もっともらしい形で間違って答えることがあります。元の資料で確認しないまま書き写すと、誤った情報を発表してしまうことになります
- 参考文献の欄に、AIが挙げた資料名を実物を見ないまま書く:前の見出しで触れた通り、AIは実在しない資料名をそれらしく挙げることがあります。確認しないまま参考文献に書くと、存在しない出典を書いたことになってしまいます
学校や先生によって、AIをどこまで使ってよいかのルールは違います。この記事で説明しているのは調べ方の考え方であり、提出先ごとの具体的なルールについては、レポート・課題でAIを使うときのルールとマナーでも扱っています。始める前に、先生やルールを確認しておきましょう。
発表資料・ポスターづくりと、提出前の確認
情報が整理できたら、いよいよポスターや発表スライドにまとめる段階です。この段階でよくあるのが、「文章の中身はできているのに、見た目を整えるのに時間がかかる」という悩みです。文字の大きさをそろえたり、写真やグラフの配置を整えたりする作業は、専用のツールを使うと進めやすくなります。Canva のようなツールは、こうした見た目づくりの作業に向いています。
見た目のデザインをツールに任せるのは問題ありませんが、スライドやポスターに書く文章そのもの、とくに結論の部分は、自分の言葉で書くようにしてください。提出・発表の前には、次の点を確認しておくと安心です。
- 結論の文章は、自分の言葉で書いたか
- 使った数字や年号は、元の資料で確認したか
- 参考文献に挙げた本やサイトは、すべて自分で実際に見たか
- 発表で「なぜそう思ったの?」と聞かれたら、自分で説明できるか
- AIを使ってよい範囲について、先生から指示があれば、それに従っているか
まとめ
調べ学習・自由研究でAIを使うときに大切なのは、「答えを書いてもらう」のではなく、「調べる道筋をつける手伝いをしてもらう」という考え方です。テーマ・問いを決める段階、情報を集める段階、情報を整理する段階、まとめる段階のそれぞれで、AIに任せていい部分と自分でやる部分を分けて考えれば、使い方に迷いにくくなります。とくに、自分の問いを決めることと、結論を自分の言葉で書くことは、最後まで自分の手で行ってください。そしてAIが挙げた情報は、必ず元の資料に当たって確かめる。この一手間が、調べ学習を自分の学びとして残すための一番の近道です。学校や先生によってAIを使ってよい範囲のルールは違うので、始める前に確認しておくことも忘れないようにしましょう。