SNSのおすすめもAI?アルゴリズムとの付き合い方
「なぜか好きな物ばかりおすすめに出てくる」「似たような動画ばかり流れてくる」と感じたことはありませんか。友だちと同じアプリを使っているのに、開いたときの画面がまったく違うことも珍しくありません。
多くのSNSやサービスでは、見る人ごとに表示する投稿を並べ替える仕組み(アルゴリズム)が使われていて、その中にAIの技術が使われていることもあると説明されています。ただし、具体的にどんな計算をしているかはサービスごとに違い、くわしく公開されていないことがほとんどです。この記事では、特定のSNSの中身を言い当てることはしません。どのSNSにも当てはまりやすい考え方と、今日から自分でできる見直しの行動、そして気持ちが疲れたときの離れ方を、中高生とその保護者の方に向けてまとめます。
おすすめ欄は「あなた向けに並べ替えた画面」
わかっていることと、わからないこと
おすすめ欄について、一般的には「見た時間や反応をもとに、その人が関心を持ちそうな投稿を選んでいることが多い」と説明されています。反応というのは、たとえば次のような行動です。
- いいねやコメント、保存をした投稿
- 最後まで見た動画と、途中でやめた動画
- 何度も見返した投稿
- フォローしているアカウントや、検索したことば
ただし、どの行動をどれくらい重く見るのか、どんな順番で並べるのかは、サービスごとに違います。しかも、仕組みは変更されることがあります。「このSNSはこれを重視している」といった断定的な解説をネットで見かけたら、公式の説明に基づいているかを確かめてください。気になるときは、各サービスのヘルプで公式の説明を確認するのが確実です。
おすすめ欄は「好み」そのものではない
もうひとつ大切なのは、おすすめ欄に並ぶものが「あなたの本当の好み」とは限らない、という点です。つい見てしまった投稿、驚いて手が止まった投稿、友だちの話題で調べただけの投稿も、見た時間や反応としてカウントされている可能性があります。好きだから見たのではなく、気になって見ただけでも、似たものが増えることはありえます。
つまり、おすすめ欄は「あなたの好み」というより、「あなたが最近よく反応したもの」を映した画面に近い、と考えておくと整理しやすくなります。サービスの側から見れば、使う人に長く楽しんでもらうことが目的のひとつなので、反応しやすいものが前に出やすい、という一般的な事情もあります。
フィルターバブルという考え方
おすすめ欄が「反応したもの」に寄っていくと、自分に合う情報ばかりが目に入り、ちがう意見や視点に触れる機会が減っていくことがあります。これは「フィルターバブル」と呼ばれる考え方です。泡(バブル)の中にいるように、外の景色が見えにくくなるイメージです。
具体的な場面で考える
たとえば、あなたがゲームの投稿によく反応しているとします。ゲームの話題が増えて楽しい一方で、「みんなゲームの話をしている」と感じやすくなります。実際には、スポーツや音楽、勉強、地域のできごとなど、ほかの話題で盛り上がっている人もたくさんいます。
趣味の話ならこれで困ることはほとんどありません。問題になりやすいのは、ニュースや社会問題、進路、健康、お金のような「判断に関わる話題」です。ある立場の意見ばかりが並ぶと、「それが世の中の多数派だ」「反対する人は間違っている」と思い込みやすくなります。偽の情報や、事実とは違う話が混ざっていても、同じ方向の投稿ばかりだと疑いにくくなります。偽情報の見分け方については、AI時代のフェイク情報の見分け方も参考になります。
気にしすぎなくていい場面もある
ここまで読むと、SNSを見るのが怖くなるかもしれません。でも、友だちの近況や、好きな音楽、動画の話題まで、毎回疑う必要はありません。見る内容によって、立ち止まる強さを変えれば十分です。次の節の表で、起きやすいことと対策を並べて整理します。
おすすめ欄で起きやすいことと、自分でできること
おすすめ欄そのものの仕組みは自分では変えられませんが、「見る側の使い方」は自分で変えられます。起きやすいことと、対応する行動を表にしました。
| おすすめ欄で起きやすいこと | 自分でできること |
|---|---|
| 同じ種類の投稿ばかり続く | 興味のない投稿に「興味なし」などの操作があれば使う。自分で別のテーマを検索する |
| 反応していないのに似た投稿が増える | 反応(いいねや長く見ること)が影響しているかもしれないと考え、気が進まない投稿は見続けない |
| 気づいたら長い時間が過ぎている | 見る時間を先に決める。終わりの合図(アラームなど)を用意する |
| 同じ意見ばかりで、反対の意見が見えない | 自分で検索して、別の立場の見方も調べる。ニュースサイトなど別の情報源も使う |
| 不安になる投稿や、嫌な気持ちになる投稿が増える | その場で閉じる。通知を切る。必要なら、見る場所そのものから離れる |
| 友だちと見ているものが違う | 画面が人ごとに違うのは普通のこと。「みんなそうだ」と決めつけない |
操作の名前や場所は、サービスごと、また時期によっても異なります。「興味なし」のような機能があるかどうか、あるとしてどこから使うのかは、各サービスのヘルプで確認してください。ここでは具体的な設定画面の場所は書きません。
自分のおすすめ欄を見直す3つの行動
表で整理した対策のうち、まず取り組みやすい3つを具体的に見ていきます。
1. 興味のない投稿には、見ない選択をする
見たくない投稿に出会ったとき、「なんだこれ」とコメントを書いたり、長く眺めたりすると、それも反応として扱われるかもしれません。いやな気持ちになる投稿は、立ち止まらずにスクロールして通り過ぎるのが基本です。「興味なし」のように、興味がないことを伝える操作がそのサービスにあれば、それを使う方法もあります。ただし、操作によってどう変わるかはサービスごとに違い、すぐに変わるとは限りません。効き目を期待しすぎず、「少しずつ変わるかもしれない」くらいの気持ちで続けてください。
2. 見る時間を先に決める
おすすめ欄は、終わりのない画面になっていることが多いです。「あと少しだけ」を続けると、気づけば長い時間がたっています。見始める前に「この動画を見たら閉じる」「夕食までにやめる」のように、終わりを先に決めておきます。スマートフォンには、アプリごとの利用時間を確認したり、制限をかけたりする機能が用意されていることがあります。保護者の方と相談して、家庭のルールとして決めておくのもよい方法です。決めた時間を守れなかった日があっても、自分を責めずに、次の日からまた決め直せば大丈夫です。
3. 自分で検索して、別の見方を探す
おすすめ欄は「受け取るだけ」の画面ですが、検索は「自分から取りに行く」行動です。気になった話題があったら、その話題をそのまま検索して、複数の情報源を見比べます。例えば次のような言葉で調べると、別の見方に出会いやすくなります。
- 「〇〇 賛成 反対」
- 「〇〇 くわしい解説 公式」
- 「〇〇 問題点」「〇〇 誤解」
ChatGPTやGeminiなどの対話型AIに聞く場合は、「〇〇について、賛成の立場と反対の立場の両方の意見を教えて」のように聞き、必ず逆の立場まで確認します。AIの答えも間違うことがあるので、進路や健康、お金のような大切な話は、学校や公的機関、公式サイトなどの一次情報で確かめてください。
気持ちが疲れたときの離れ方
SNSを見ていて、胸がざわざわしたり、ほかの人と比べて落ち込んだり、何時間も見てしまって後悔したりすることは、誰にでもあります。これは意志が弱いからではありません。次々に新しい投稿が出てきて、反応を気にしやすい作りになっているサービスが多いので、疲れやすいのは自然なことです。
疲れのサインに気づく
次のようなことが続いたら、少し離れるタイミングかもしれません。
- 見たあとに、気分が重くなることが増えた
- 眠る前に見て、寝つけない日が続いている
- 他の人の投稿と自分を比べて、苦しくなる
- 通知が気になって、勉強や食事に集中できない
- 見ていないと不安になる
離れ方のステップ
いきなりやめようとすると続きません。軽いものから順に試してみてください。
- 通知を減らす: 通知を切るだけでも、「呼び出される感じ」が減ります。
- 見る場所と時間を決める: 寝る前は見ない、食事中は見ない、のようにルールを作ります。
- アプリを目につかない場所に移す: ホーム画面の隅に移したり、フォルダにまとめたりします。
- しばらくアプリを閉じる: 数日だけ見ない期間を作り、気持ちがどう変わるか観察します。
- ほかの楽しみを用意する: 外に出る、本を読む、友だちと会って話すなど、画面以外の時間を増やします。
見ない間に友だちの話題についていけなくなるのが心配なときは、直接会って話すか、メッセージで連絡を取る方法もあります。
誰かに話してみる
嫌な投稿や、人間関係のトラブルで苦しいときは、ひとりで抱えないでください。保護者、先生、スクールカウンセラーなど、身近な大人に話してみましょう。投稿の画面を残しておくと、相談するときに状況を伝えやすくなります。投稿の通報やブロックなどの機能については、各サービスのヘルプで確認できます。
保護者の方へ
お子さんのSNS利用で気になることがあっても、頭ごなしに禁止すると、見ていることを隠してしまい、かえって相談しにくくなることがあります。おすすめ欄の仕組みを一緒に確認する、という入り口なら、話をしやすくなります。
- 「画面が人によって違う」ことを、親子で自分のスマートフォンを見比べて確かめてみる
- 見る時間のルールは、一方的に決めずに、本人と相談して決める
- 不安になる投稿を見たときは、まず気持ちを聞き、見た内容を責めない
- 大人も同じ仕組みの影響を受けることを伝え、「親子で一緒に見直す」姿勢を見せる
家庭の事情や年齢によって、ちょうどよいルールは違います。正解はひとつではないので、状況に合わせて話し合ってみてください。
発信する側から見ると、反応の集まり方が見えてくる
受け取る側の工夫に加えて、自分でも投稿してみると、見え方の理解が一段深まります。部活動やイベントの告知を投稿する機会がある人は、同じ内容でも、画像の見せ方や最初の一文によって、反応の集まり方が変わることに気づくはずです。反応が多い投稿ほど、より多くの人の目に触れやすくなる、という一般的な事情もあります。
MiriCanvasのようなデザインツールを使って、サムネイルや投稿用の画像を作ってみると、見せ方の違いで受け取る印象が変わることを体験できます。作る側の気持ちがわかると、目を引くための工夫がされた投稿に出会ったときにも、「これは目を止めるための工夫かもしれない」と一歩引いて見られるようになります。
まとめ
SNSのおすすめ欄は便利な一方で、同じ種類の情報に偏りやすい面があります。仕組みの細部は見えませんが、自分の使い方は自分で変えられます。
- おすすめ欄は、あなたの「好み」そのものではなく、最近の反応を映した画面に近い
- 判断に関わる話題は、自分で検索して、別の立場の見方も確かめる
- 見る時間を先に決め、「興味なし」の操作があれば使い、疲れたら通知や利用を減らして離れる
- 趣味や友だちの投稿まで、神経質に疑う必要はない
今日から一つだけ試すなら、次にニュースの投稿を見たとき、その話題を自分で検索して、別の立場の意見を一つ読んでみてください。この積み重ねが、AIリテラシーを身につけることにつながります。基本から知りたい人は知っておきたいAIリテラシーの基本も読んでみてください。
参考リンク
- https://openai.com/chatgpt/
- https://gemini.google.com/