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AIで図解を作るときの現実的な進め方

資料に載せる説明図を作ろうとして、画像生成AIに「流れ図を作って」「比較図を描いて」と頼んでみたものの、思っていたものと違う結果になった経験はないでしょうか。写真やイラストのような絵は得意でも、手順や関係性を伝える説明図になると、途端にうまくいかなくなることがあります。

この記事で扱うのは、写真やイラストのような「絵」ではなく、流れ図・比較表・関係図といった「説明のための図」です。資料や社内共有のために、内容を整理して見せる図をどう作るかに絞って書きます。AI画像生成そのものの基本や、絵作りの調整についてはAI画像生成ガイドAI画像が思った絵にならないときの直し方で扱っていますので、そちらをご覧ください。

説明図を画像生成AIに丸ごと任せるとうまくいかない理由

説明図は、絵としての見栄えよりも「正確さ」が命です。ところが画像生成AIに説明図をそのまま作らせると、この正確さの部分でつまずくことが多くあります。

まず、図の中に入れる文字が正しく表示されないことがあります。ラベルや矢印に添える短い言葉ほど、生成した結果を見るとつづりが崩れていたり、意図しない文字に置き換わっていたりします。写真やイラストであれば多少の乱れは気にならなくても、説明図では文字そのものが情報なので、これは致命的です。

次に、要素どうしの位置関係や矢印の向きが意図どおりにならないことがあります。手順を表す流れ図で矢印の向きが逆になっていたり、比較のつもりで並べた要素の順番が崩れていたりすると、図を見た人に誤った理解を与えてしまいます。絵の雰囲気が多少ずれる程度なら許容できても、位置関係や向きの間違いは説明図としての機能そのものを壊します。

さらに、数値やラベルの対応が崩れることもあります。たとえば表やグラフ的な図で、数値とラベルの組み合わせが入れ替わってしまうと、見た人はそれが正しい情報だと信じて受け取ってしまいます。説明図における間違いは、絵の完成度の問題ではなく、伝える内容そのものの間違いになってしまう点が、写真やイラストの生成とは決定的に異なります。

こうした特性を踏まえると、説明図そのものを画像生成AIに丸ごと描かせるのは、いまのところあまり向いていないやり方だと考えたほうが現実的です。向いていないと分かったうえで、AIをどこで使うかを切り替えるのが、次の節からの話になります。

AIが役に立つのは「図を描く前」の段階

説明図づくりでAIが力を発揮するのは、絵を生成する場面ではなく、その手前にある「何をどう図にするか」を考える段階です。ここは言葉のやり取りが中心なので、AIが得意とする領域と重なります。

一つ目は、内容を図にするならどの型が合うかを相談することです。伝えたい内容を説明したうえで、「これは流れ図にしたほうがよいか、比較表にしたほうがよいか」と尋ねると、内容の構造を整理する手助けになります。自分では手順だと思っていた内容が、実は分類の話だったと気づくこともあります。

二つ目は、図の中に入れるラベルの文言を短くする案を出させることです。図に入れる言葉は、文章とは違って短くないと収まりません。長い説明文をそのまま図に入れると読みにくくなるので、「この内容を図のラベルに使えるくらい短くするとどうなるか」をAIに何パターンか出させ、その中から選ぶという使い方が実用的です。

三つ目は、たとえや言い換えを出させることです。図に入れる要素の呼び方に迷ったとき、専門的な言葉をやわらかい言葉に言い換える案や、身近なたとえに置き換える案をいくつか出してもらうと、図全体の分かりやすさが上がります。

このように、AIに任せるのは「図にする前の設計」であって、「図そのものを描く作業」ではないと切り分けておくと、無理なく活用できます。

図の型を選ぶ判断基準

内容を図にすると決めたら、次にどの型を使うかを選びます。型が合っていないと、どれだけ丁寧に組んでも分かりにくい図になってしまうので、まず型選びの見当をつけることが大切です。

図の型どんな内容に向くか
流れ図手順や時系列がある内容(作業の順番、申請の流れなど)
比較表選択肢が複数あり、同じ観点で並べて比べたい内容
マトリクス・2軸2つの基準を組み合わせて分類したい内容
階層図全体と部分、分類の入れ子構造を表したい内容
関係図要素どうしのつながりや相互作用を表したい内容

たとえば「新しい制度を導入するまでの手順」を説明したいなら流れ図が合いますし、「複数のプランのどれを選ぶか」を説明したいなら比較表が合います。「重要度と緊急度で優先順位をつけたい」といった内容であればマトリクスが向いていますし、「組織の全体像と各部署の位置づけ」を説明したいなら階層図、「担当者どうしの連携関係」を示したいなら関係図が近い型になります。

内容によっては複数の型が候補になることもあります。そうした場合は、どちらの型で説明したときに聞き手が迷わず理解できそうかを基準に選ぶとよいでしょう。ここでの型選びの相談こそ、AIに投げかけるのに向いた作業です。

実務的な進め方の手順

型が決まったら、あとは図を組み立てていく作業になります。ここまでの内容を踏まえると、進め方はおおむね次の順番になります。

  1. 内容をAIに説明し、どの型が合うか相談する
  2. 提案された型の中から一つを決める
  3. その型に近いテンプレートをツールから探して組む
  4. 図の中の文字は自分で入れる

この順番の要は、3と4を分けているところです。図の骨組みはテンプレートに任せ、文字は自分の手で入れることで、前の節で挙げた「文字が崩れる」「対応がずれる」といった問題を避けられます。テンプレートは見た目の骨格を提供してくれるものなので、要素の位置や矢印の向きもあらかじめ整った状態で使えます。

こうしたテンプレートから図を組む作業は、デザインツールを使うと進めやすくなります。既存のレイアウトを土台にして、自分の内容に合わせて要素を入れ替えていく形です。

同じように、あらかじめ用意された構成をもとに図解や資料を組み立てられるツールもあります。テンプレートの傾向や使い勝手はツールによって異なりますので、いくつか試してみて自分の作業に合うものを選ぶとよいでしょう。

テンプレートから組むときの注意

テンプレートを使うと骨組みはすぐに整いますが、そのまま要素を詰め込んでいくと、かえって分かりにくい図になってしまうことがあります。組み立てる際にいくつか気をつけたい点があります。

まず、要素を増やしすぎないことです。テンプレートには空いた枠がたくさん用意されていることがありますが、枠が空いているからといって全部埋める必要はありません。伝えたい内容に必要な要素だけを選び、それ以外は削る判断をしたほうが、結果として読みやすい図になります。

次に、1枚の図には1つの主張だけを載せることです。あれもこれもと詰め込みたくなりますが、複数の主張を一つの図に混ぜると、見た人はどこに注目すればよいか分からなくなります。伝えたいことが複数あるなら、図を分けたほうが結果的に伝わりやすくなります。

さらに、色数を絞ることも大切です。色を使いすぎると、色の違いが何を意味しているのか読み手に伝わらなくなり、かえって情報量が増えたように見えてしまいます。強調したい部分にだけ色を使い、それ以外は控えめな配色にまとめると、図全体が整って見えます。

図が要らない場合もある

ここまで図の作り方を説明してきましたが、そもそも図にする必要がない内容も少なくありません。箇条書きで十分に伝わる内容を無理に図にすると、かえって読みにくくなることがあります。

図にする価値があるかどうかを見極める目安は、要素どうしの関係や順序が、説明の理解に関わってくるかどうかです。単に項目を並べるだけの内容であれば、矢印や枠で囲んで図らしく見せても、情報量が増えるわけではありません。むしろ箇条書きのほうが読み手はすっと内容を追えることがあります。

一方で、手順の前後関係や、要素どうしのつながりが理解のかぎになる内容であれば、図にする価値があります。迷ったときは、「この内容を口頭で説明するときに、身振りや図を使わずに言葉だけで伝わるか」を自問してみると、見極めの助けになります。言葉だけで十分伝わるなら、無理に図にしなくてもよいということです。

図を作る前後のチェックリスト

図解に取りかかる前と、組み終えたあとに、それぞれ確認しておきたい項目です。

まとめ

説明図を画像生成AIに丸ごと作らせるのは、文字の乱れや位置関係のずれ、数値とラベルの対応崩れが起きやすく、いまのところ現実的なやり方とはいえません。AIに任せるべきは、図そのものを描くことではなく、「何をどう図にするか」を考える設計の部分です。型の相談、ラベルの言い換え、たとえ出しといった言葉のやり取りにAIを使い、図の骨組みはテンプレートで組み、文字は自分の手で入れる。この役割分担を意識するだけで、説明図づくりの手戻りはかなり減らせます。

そして、すべての内容を図にする必要はありません。箇条書きで足りる内容まで図にしてしまうと、かえって伝わりにくくなることもあります。図にする価値があるかどうかを見極めたうえで、型を選び、テンプレートを活用して組み立てていく進め方を、日々の資料作りに取り入れてみてください。

参考リンク