第3章 用途別の実践

文章の仕事に使う

第7回 / 全10回 約8分

ここからは実践編です。まずは最も使う場面が多い、文章の仕事から。

文章の仕事は3種類に分けられる

「文章をAIに手伝ってもらう」と言っても、中身はまったく違う3つが混ざっています。それぞれ難易度も、確認すべき場所も違います。

文章の仕事の3分類 減らす 要約・抽出 材料は目の前にある いちばん安全 整える 言い換え・推敲 材料は自分の文章 意味が変わらないか確認 増やす 下書き・案出し 材料をAIが補う 事実の混入に注意 右へ行くほど、AIが自分で材料を作る割合が増える=確認の必要が増す
文章の仕事は「減らす・増やす・整える」に分けられる

なぜこの分け方が効くのか。 右へ行くほど、AIが自分で材料を補う割合が増えるからです。要約は目の前の文章から削るだけなので、事実を作り出す余地が小さい。一方で下書きは、書いていないことを埋めなければならないので、そこに誤りが混ざります。

減らす:要約

いちばん安全で、いちばん効果が出やすい使い方です。ただしコツがあります。

要約は「誰のためか」で形が変わる

指定しないと、汎用的な要約が返ります。 第2章の「相手」がそのまま効く場面です。

削られたものを確認する

要約で危ないのは、間違いが混ざることより大事な部分が落ちることです。特に条件や例外(「ただし〜の場合を除く」)は、短くする過程で消えやすい。

対策は単純で、「元の文章で、要約に入らなかった重要な点はありますか」と聞き返すことです。

整える:推敲と言い換え

自分が書いた文章を渡して直してもらう使い方です。ここでの注意は1つ。

勝手に意味を変えられていないか。

読みやすくする過程で、断定が弱められたり、条件が抜けたりします。特に「〜と考えられます」を「〜です」に変えられるのは要注意で、責任の重さが変わってしまいます。

推奨する頼み方

「直した箇所と、なぜ直したかを一覧にしてください」と添えると、変更点が追えます。全文を読み比べるより速く、見落としも減ります。

増やす:下書きと案出し

最も便利で、最も注意が要る使い方です。

やっていいこと

やってはいけないこと

2つ目は特に、学生と新人が陥りやすい形です。説明を求められて答えられない文章は、自分のものではありません。

実務での組み立て方

3種類を組み合わせると、現実の作業になります。たとえば報告書なら、

  1. 減らす — 元資料を要約して、材料を整理する
  2. 自分で考える — 何を主張するか決める(ここはAIに渡さない)
  3. 増やす — 決めた骨子を文章にしてもらう
  4. 整える — 読みやすさを直してもらう
  5. 確認 — 数字・固有名詞・出典を突き合わせる

2番目を飛ばすと、それらしいが中身のない文書ができます。 ここだけは人の仕事として残してください。

確認問題

  1. Q1文章の仕事のうち、AIが事実を作り出す余地が最も小さいのはどれですか。

  2. Q2要約させたときに、特に注意して確認すべきなのはどれですか。

  3. Q3自分の文章を推敲してもらうとき、有効な頼み方はどれですか。

  4. Q4報告書をAIと作るとき、人が引き受けるべき工程はどれですか。

確認問題に全問正解すると完了にできます