第2章 指示の型を身につける

型が効かないときの直し方

第6回 / 全10回 約8分

前回の型を使っても、うまくいかない場面があります。今回は症状から原因を引ける形に整理します。

症状別の対処

困ったときは、まずどの症状かを見分けてください。原因と直し方が変わります。

症状原因直し方
一般論しか返ってこない前提を渡していない自分の状況を具体的に書く
話が長い・要点が見えない形式の指定がない「箇条書きで5つ」など形を指定
途中から話がずれる会話が長くなり前提が薄れた目的を書き直して伝え直す
事実が怪しい正解が1つに決まる領域根拠を出させ、自分で確認
何度やっても同じ答え問い方が同じ立場や条件を変えて聞く

最初の行が最頻出です。「どうすればいいですか」と聞くと一般論が返るのは当たり前で、AIはこちらの状況を知らないからです。

3つの強い手

型を足しても抜けないときに効く、少し進んだ手を3つ紹介します。

1. 役割を与える

「あなたは編集者です」「採用担当の立場で見てください」のように立場を指定すると、選ばれる語彙と着眼点がまとめて変わります。 条件を10個並べるより効くことがあります。

これは魔法ではありません。その立場の人が書きそうな文章に、出力が寄るというだけです。仕組みが分かっていれば、効く場面も見当がつきます。

2. 悪い例を示す

意外に効くのがこれです。

「ただし、こういう書き方は避けてください:(避けたい例を貼る)」

良い例を示すより、悪い例のほうが効くことがあります。 良い例は真似の対象が広すぎますが、悪い例は避けるべき方向が一点に定まるからです。

3. 段階に分ける

長い作業を一度に頼まないことです。

❌ 「企画書を作って」
⭕ 「まず構成案だけ出して」→ 確認 →「この構成で本文を書いて」

途中で軌道修正できるので、やり直しが小さくて済みます。第1章で見たとおり、AIは前の文章に引きずられます。 最初の構成が間違ったまま本文まで書かれると、全部やり直しになります。

「聞き方を変えると答えが変わる」の使い道

第1章で、聞き方を変えると答えが変わるのはAIが確信を持っていない印だと説明しました。これは弱点であると同時に、確認の道具として使えます。

重要な判断に関わる情報は、次のように扱ってください。

  1. 一度聞く
  2. 表現を変えて、もう一度聞く
  3. 答えが一致するか見る

食い違ったら、そこは疑うべき箇所です。特に数字では有効です。

やってはいけない直し方

最後に、逆効果になる直し方を挙げます。

指示の工夫で解決できるのは「伝わっていない問題」だけです。「AIが知らない・確かめられない問題」は、指示では解決しません。ここを混同すると、無駄な時間を使います。

指示で解決できる問題とできない問題 伝わっていない問題 前提を渡していない 形を指定していない 目的が曖昧 指示で直せる 確かめられない問題 事実を知らない 最新の情報がない 正誤を判定できない 指示では直せない 右側に「正確に答えて」と書き足しても解決しない。確認するしかない
指示で直せる問題と、直せない問題は別物

第2章のまとめ

次章では、文章・画像・音声それぞれの実践に入ります。

確認問題

  1. Q1「どうすればいいですか」と聞いて一般論しか返ってこないとき、最も有効な対処はどれですか。

  2. Q2「悪い例を示す」が効くことがある理由として、最も適切なものはどれですか。

  3. Q3長い作業を段階に分けたほうがよい理由として、第1章の内容から説明できるものはどれですか。

  4. Q4「絶対に間違えないでください」と指示に書くことについて、正しい説明はどれですか。

確認問題に全問正解すると完了にできます