型が効かないときの直し方
前回の型を使っても、うまくいかない場面があります。今回は症状から原因を引ける形に整理します。
症状別の対処
困ったときは、まずどの症状かを見分けてください。原因と直し方が変わります。
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 一般論しか返ってこない | 前提を渡していない | 自分の状況を具体的に書く |
| 話が長い・要点が見えない | 形式の指定がない | 「箇条書きで5つ」など形を指定 |
| 途中から話がずれる | 会話が長くなり前提が薄れた | 目的を書き直して伝え直す |
| 事実が怪しい | 正解が1つに決まる領域 | 根拠を出させ、自分で確認 |
| 何度やっても同じ答え | 問い方が同じ | 立場や条件を変えて聞く |
最初の行が最頻出です。「どうすればいいですか」と聞くと一般論が返るのは当たり前で、AIはこちらの状況を知らないからです。
3つの強い手
型を足しても抜けないときに効く、少し進んだ手を3つ紹介します。
1. 役割を与える
「あなたは編集者です」「採用担当の立場で見てください」のように立場を指定すると、選ばれる語彙と着眼点がまとめて変わります。 条件を10個並べるより効くことがあります。
これは魔法ではありません。その立場の人が書きそうな文章に、出力が寄るというだけです。仕組みが分かっていれば、効く場面も見当がつきます。
2. 悪い例を示す
意外に効くのがこれです。
「ただし、こういう書き方は避けてください:(避けたい例を貼る)」
良い例を示すより、悪い例のほうが効くことがあります。 良い例は真似の対象が広すぎますが、悪い例は避けるべき方向が一点に定まるからです。
3. 段階に分ける
長い作業を一度に頼まないことです。
❌ 「企画書を作って」
⭕ 「まず構成案だけ出して」→ 確認 →「この構成で本文を書いて」
途中で軌道修正できるので、やり直しが小さくて済みます。第1章で見たとおり、AIは前の文章に引きずられます。 最初の構成が間違ったまま本文まで書かれると、全部やり直しになります。
「聞き方を変えると答えが変わる」の使い道
第1章で、聞き方を変えると答えが変わるのはAIが確信を持っていない印だと説明しました。これは弱点であると同時に、確認の道具として使えます。
重要な判断に関わる情報は、次のように扱ってください。
- 一度聞く
- 表現を変えて、もう一度聞く
- 答えが一致するか見る
食い違ったら、そこは疑うべき箇所です。特に数字では有効です。
やってはいけない直し方
最後に、逆効果になる直し方を挙げます。
- 「正確に答えてください」と書く — 気休めにはなりますが、正確さが保証されるわけではありません
- 「絶対に間違えないで」と強く言う — 出力の調子が変わるだけで、仕組み上ゼロにはなりません
- 同じ指示を何度も送る — 問い方が同じなら、返ってくるものも大きくは変わりません
指示の工夫で解決できるのは「伝わっていない問題」だけです。「AIが知らない・確かめられない問題」は、指示では解決しません。ここを混同すると、無駄な時間を使います。
第2章のまとめ
- 具体的な指示が効くのは、次の語を選ぶ手がかりが増えるから
- 型は目的・相手・条件・形式の4つ。抜けた項目に対応した崩れ方をする
- 一度で完成させず、返答を見て足していくほうが速い
- 強い手は役割の指定・悪い例の提示・段階分け
- 表現を変えて聞き直すと、AIが確信を持てていない箇所が分かる
- 指示で直せるのは「伝わっていない問題」だけ
次章では、文章・画像・音声それぞれの実践に入ります。
確認問題
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Q1「どうすればいいですか」と聞いて一般論しか返ってこないとき、最も有効な対処はどれですか。
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Q2「悪い例を示す」が効くことがある理由として、最も適切なものはどれですか。
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Q3長い作業を段階に分けたほうがよい理由として、第1章の内容から説明できるものはどれですか。
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Q4「絶対に間違えないでください」と指示に書くことについて、正しい説明はどれですか。
確認問題に全問正解すると完了にできます