第1章 生成AIの土台をつくる

任せてよい仕事、任せてはいけない仕事

第2回 / 全10回 約7分

前回、生成AIは「次に来そうな言葉を選ぶ装置」だと確認しました。今回はそこから、具体的な線引きを作ります。

判断の基準は「正解が1つに決まるか」

得意・不得意を機能ごとに覚える必要はありません。1つの問いで、ほぼ判別できます。

その仕事の正解は、1つに決まっていますか?

正解が1つに決まる仕事ほど、生成AIは間違えます。逆に、正解の幅が広い仕事ほど強い。直感に反するかもしれませんが、理由は単純です。「それらしい」と「正しい」が一致しない領域が、まさに正解が1つの領域だからです。

仕事の性質向き
正解の幅が広い言い換え、要約、たたき台、アイデア出し得意
形が決まっている定型文、体裁の整形、表への変換得意
正解が1つに決まる計算、日付、人名、金額、法律の条文危険
最新性が要る今日の株価、先週の発表危険
責任が伴う診断、法的判断、最終的な意思決定任せない

図にすると、こういう軸です。

正解の幅と、生成AIの得意・不得意 正解の幅が広い 正解が1つに決まる この向きに進むほど、生成AIは間違えやすくなる 言い換え たたき台 アイデア出し 要約 体裁の整形 中に危険な部分が混ざる 金額・日付 人名・出典 計算・条文
正解の幅が狭くなるほど、生成AIは間違えやすくなる

「たたき台」という考え方が中心になる

生成AIの使い方で、もっとも安定して成果が出るのはたたき台を作らせることです。

白紙から書き始めるのと、直すところから始めるのとでは、必要な労力がまったく違います。この差は、内容の良し悪しとは別に効いてきます。

たたき台に向くもの

共通しているのは、最後に人が手を入れることが前提という点です。そのまま出す前提で使い始めた瞬間に、事故が起きます。

「できるが、確認が要る」という中間

多くの仕事は、白でも黒でもなく灰色です。ここが実務では一番多い。

たとえば「議事録の要約」は得意な仕事ですが、その中に日付・金額・人名が入っていれば、そこだけは正解が1つに決まります。つまり、要約という得意な仕事の中に、危険な部分が埋まっているわけです。

だから確認は、全体を読み直すのではなく、危ない部分だけを狙って見るのが効率的です。

優先して確認する場所

  1. 数字(金額・日付・期限・数量)
  2. 固有名詞(人名・社名・製品名)
  3. 否定形(「〜ない」は読み飛ばすと意味が反転する)
  4. 出典(本・論文・URL は実在するか)

この4つに絞るだけで、確認にかかる時間は現実的な範囲に収まります。

やってはいけない使い方

最後に、線を越える使い方をはっきりさせておきます。

これらは「AIの性能が上がれば解決する」問題ではありません。責任を負えるのは人だけという点が変わらないからです。

次回は、この「間違える」がなぜ起きるのかを、もう一段掘り下げます。仕組みが分かると、確認すべき場所の勘が働くようになります。

確認問題

  1. Q1生成AIに任せる仕事を判断するとき、最も役に立つ問いはどれですか。

  2. Q2「会議の議事録を要約する」という仕事について、最も適切な説明はどれですか。

  3. Q3出力を確認するとき、優先して見るべきでないものはどれですか。

確認問題に全問正解すると完了にできます