任せてよい仕事、任せてはいけない仕事
前回、生成AIは「次に来そうな言葉を選ぶ装置」だと確認しました。今回はそこから、具体的な線引きを作ります。
判断の基準は「正解が1つに決まるか」
得意・不得意を機能ごとに覚える必要はありません。1つの問いで、ほぼ判別できます。
その仕事の正解は、1つに決まっていますか?
正解が1つに決まる仕事ほど、生成AIは間違えます。逆に、正解の幅が広い仕事ほど強い。直感に反するかもしれませんが、理由は単純です。「それらしい」と「正しい」が一致しない領域が、まさに正解が1つの領域だからです。
| 仕事の性質 | 例 | 向き |
|---|---|---|
| 正解の幅が広い | 言い換え、要約、たたき台、アイデア出し | 得意 |
| 形が決まっている | 定型文、体裁の整形、表への変換 | 得意 |
| 正解が1つに決まる | 計算、日付、人名、金額、法律の条文 | 危険 |
| 最新性が要る | 今日の株価、先週の発表 | 危険 |
| 責任が伴う | 診断、法的判断、最終的な意思決定 | 任せない |
図にすると、こういう軸です。
「たたき台」という考え方が中心になる
生成AIの使い方で、もっとも安定して成果が出るのはたたき台を作らせることです。
白紙から書き始めるのと、直すところから始めるのとでは、必要な労力がまったく違います。この差は、内容の良し悪しとは別に効いてきます。
たたき台に向くもの
- メールや文書の下書き
- 企画や構成の案出し
- 説明文の言い換え(専門的 → やさしく、長い → 短く)
- 自分が書いた文章への指摘出し
共通しているのは、最後に人が手を入れることが前提という点です。そのまま出す前提で使い始めた瞬間に、事故が起きます。
「できるが、確認が要る」という中間
多くの仕事は、白でも黒でもなく灰色です。ここが実務では一番多い。
たとえば「議事録の要約」は得意な仕事ですが、その中に日付・金額・人名が入っていれば、そこだけは正解が1つに決まります。つまり、要約という得意な仕事の中に、危険な部分が埋まっているわけです。
だから確認は、全体を読み直すのではなく、危ない部分だけを狙って見るのが効率的です。
優先して確認する場所
- 数字(金額・日付・期限・数量)
- 固有名詞(人名・社名・製品名)
- 否定形(「〜ない」は読み飛ばすと意味が反転する)
- 出典(本・論文・URL は実在するか)
この4つに絞るだけで、確認にかかる時間は現実的な範囲に収まります。
やってはいけない使い方
最後に、線を越える使い方をはっきりさせておきます。
- 医療・法律・税務などの判断を、そのまま採用する
- 事実確認をせずに、外部に出す文章として使う
- 人の評価や合否を、AIの出力だけで決める
これらは「AIの性能が上がれば解決する」問題ではありません。責任を負えるのは人だけという点が変わらないからです。
次回は、この「間違える」がなぜ起きるのかを、もう一段掘り下げます。仕組みが分かると、確認すべき場所の勘が働くようになります。
確認問題
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Q1生成AIに任せる仕事を判断するとき、最も役に立つ問いはどれですか。
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Q2「会議の議事録を要約する」という仕事について、最も適切な説明はどれですか。
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Q3出力を確認するとき、優先して見るべきでないものはどれですか。
確認問題に全問正解すると完了にできます