入れてよい情報、入れてはいけない情報
ここまでは「AIが返すもの」の話でした。今回は逆向き、こちらが渡すものの話です。第1章の最後にこれを置いているのは、取り返しがつかない失敗が起きるのはこちら側だからです。
出力の誤りは、気づけば直せます。入力してしまった情報は、取り消せません。
判断の軸は「外部に預ける」という一点
生成AIに文章を入力するということは、その内容を社外のサービスに送るということです。ここを押さえれば、判断は難しくありません。
自分に問う質問は1つです。
同じ内容を、社外の業者にメールで送れますか?
送れないものは、生成AIにも入れないでください。逆に、送れるものなら概ね問題ありません。
具体的な線引き
入れてはいけないもの
- 顧客の個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス)
- 社外に出していない企画、見積、契約の内容
- 従業員の評価や、健康・家庭の事情
- パスワード、APIキー、社内システムの構成
- 他社から預かった資料(守秘義務の対象)
多くの場合は問題ないもの
- すでに公開されている情報
- 固有名詞を伏せた、一般化した相談
- 自分が書いた文章の推敲
- 公開資料をもとにした調べもの
「伏せて相談する」という技術
実務では、「機密だから使えない」で終わらせると何もできなくなります。多くの場合、伏せれば使えます。
たとえばこう書き換えます。
| そのまま入れる | 伏せて入れる |
|---|---|
| 「A社への見積を200万円で出したが…」 | 「取引先への見積を出したが、想定より高いと言われた」 |
| 「田中さんが期日を守らなくて…」 | 「チームメンバーの1人が期日を守らない場合」 |
| (社内資料を丸ごと貼る) | 「こういう構成の資料で、伝わりにくい点を指摘して」 |
相談の本質は、固有名詞や金額の中にはありません。 そこを外しても、返ってくる助言はほとんど変わりません。むしろ論点が絞られて、良い答えが返ってくることさえあります。
設定と規約は一度だけ確認する
サービスによって、入力内容の扱いは異なります。学習に使われるかどうかを設定で選べる場合があります。 使い始めに一度だけ、次を確認しておいてください。
- 入力内容が学習に使われる設定になっていないか
- 履歴の保存期間はどうなっているか
- 仕事で使う場合、勤務先にAI利用のルールがあるか
3番目は技術ではなく組織の話です。ルールがあるのに知らずに使っていた、が一番まずい形なので、先に確認してください。
学生の場合
学校の課題で使う場合、追加でもう1つあります。
学校ごとに、生成AIの利用ルールが違います。 「使ってよい」「使ってよいが明記する」「禁止」のどれなのかを、必ず確認してください。これは成績と、場合によっては処分に関わります。曖昧なら、先生に直接聞くのが確実です。
第1章のまとめ
- 生成AIは「次に来そうな言葉を選ぶ」装置。答えを探しているわけではない
- 正解が1つに決まる仕事ほど間違えやすい。たたき台として使うのが基本
- 誤りは正解と同じ滑らかさで出る。文章の自然さは正しさの証拠にならない
- 確認は全部ではなく、数字・固有名詞・出典・否定形に絞る
- 入力は「社外の業者にメールで送れるか」で判断する。伏せれば使えることが多い
第2章では、ここで作った土台の上で、実際に指示を書く技術に入ります。
確認問題
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Q1生成AIに情報を入力してよいか判断するとき、有効な問いはどれですか。
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Q2顧客とのトラブルについて相談したいが、内容に機密が含まれます。最も適切な対応はどれですか。
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Q3仕事で生成AIを使い始めるときに、最初に確認すべきこととして最も重要なのはどれですか。
確認問題に全問正解すると完了にできます