第1章 生成AIの土台をつくる

入れてよい情報、入れてはいけない情報

第4回 / 全10回 約6分

ここまでは「AIが返すもの」の話でした。今回は逆向き、こちらが渡すものの話です。第1章の最後にこれを置いているのは、取り返しがつかない失敗が起きるのはこちら側だからです。

出力の誤りは、気づけば直せます。入力してしまった情報は、取り消せません。

判断の軸は「外部に預ける」という一点

生成AIに文章を入力するということは、その内容を社外のサービスに送るということです。ここを押さえれば、判断は難しくありません。

自分に問う質問は1つです。

同じ内容を、社外の業者にメールで送れますか?

送れないものは、生成AIにも入れないでください。逆に、送れるものなら概ね問題ありません。

入力してよい情報かどうかの判断の流れ 社外の業者にメールで送れるか? はい いいえ そのまま入れてよい そのままでは入れない 固有名詞と金額を伏せる → 多くの場合これで使える
入力してよいかの判断は、1つの問いで分かれる

具体的な線引き

入れてはいけないもの

多くの場合は問題ないもの

「伏せて相談する」という技術

実務では、「機密だから使えない」で終わらせると何もできなくなります。多くの場合、伏せれば使えます。

たとえばこう書き換えます。

そのまま入れる伏せて入れる
「A社への見積を200万円で出したが…」「取引先への見積を出したが、想定より高いと言われた」
「田中さんが期日を守らなくて…」「チームメンバーの1人が期日を守らない場合」
(社内資料を丸ごと貼る)「こういう構成の資料で、伝わりにくい点を指摘して」

相談の本質は、固有名詞や金額の中にはありません。 そこを外しても、返ってくる助言はほとんど変わりません。むしろ論点が絞られて、良い答えが返ってくることさえあります。

設定と規約は一度だけ確認する

サービスによって、入力内容の扱いは異なります。学習に使われるかどうかを設定で選べる場合があります。 使い始めに一度だけ、次を確認しておいてください。

  1. 入力内容が学習に使われる設定になっていないか
  2. 履歴の保存期間はどうなっているか
  3. 仕事で使う場合、勤務先にAI利用のルールがあるか

3番目は技術ではなく組織の話です。ルールがあるのに知らずに使っていた、が一番まずい形なので、先に確認してください。

学生の場合

学校の課題で使う場合、追加でもう1つあります。

学校ごとに、生成AIの利用ルールが違います。 「使ってよい」「使ってよいが明記する」「禁止」のどれなのかを、必ず確認してください。これは成績と、場合によっては処分に関わります。曖昧なら、先生に直接聞くのが確実です。

第1章のまとめ

第2章では、ここで作った土台の上で、実際に指示を書く技術に入ります。

確認問題

  1. Q1生成AIに情報を入力してよいか判断するとき、有効な問いはどれですか。

  2. Q2顧客とのトラブルについて相談したいが、内容に機密が含まれます。最も適切な対応はどれですか。

  3. Q3仕事で生成AIを使い始めるときに、最初に確認すべきこととして最も重要なのはどれですか。

確認問題に全問正解すると完了にできます