第2章 指示の型を身につける

指示の基本の型をつくる

第5回 / 全10回 約8分

第1章で「AIは次に来そうな言葉を選んでいる」と確認しました。ここから、指示の書き方が効く理由が導けます。

なぜ指示を変えると答えが変わるのか

よくある誤解から外しておきます。

❌ 具体的に書くと、AIが本気を出す
⭕ 具体的に書くと、次の語を選ぶ手がかりが増える

AIの能力は変わりません。変わるのは選択肢の絞られ方です。「メールを書いて」だけでは、世の中のあらゆるメールが候補になります。だから最大公約数的な、当たり障りのない文章が出てきます。

曖昧な指示に無難な答えが返るのは、AIの手抜きではなく、当然の帰結です。

指示の具体性と出力の幅 「メールを書いて」 候補が広すぎる → 無難な答え + 目的・相手 絞られてきた + 条件・形式 狙いに近づく
手がかりが増えるほど、出力の幅が絞られる

4つの型

埋める要素は4つです。これだけ覚えれば十分で、細かいテクニックはすべてこの応用です。

要素何を書くか抜けたときに起きること
目的何のために使うのか見当違いの方向に書かれる
相手誰が読むのか難易度と丁寧さがずれる
条件守ってほしいこと触れてほしくない話が混ざる
形式どんな形で出すか長さや構成が毎回変わる

「相手」が効く理由を補足しておきます。読む人が変わると、使ってよい専門用語も、説明の丁寧さも変わります。「中学生に説明するつもりで」と一言足すだけで文章が変わるのは、この項目が強く効いているからです。

悪い指示と良い指示

場面悪い指示良い指示
要約これ要約して会議に出ていない上司が判断できるよう、決定事項と保留事項を分けて要約して
メールメール書いて取引先へ納期変更のお詫び。代替案を必ず添え、件名と本文に分けて250字程度で
言い換えわかりやすくして専門知識のない人向けに。専門用語を使うときは短い説明を添えて
相談どうすればいい?現状はこう。制約はこう。取れる選択肢を3つ、それぞれの欠点つきで

共通しているのは、良い指示のほうが「AIが推測しなければならない部分」を減らしているという点です。

実際に組み立ててみる

読むだけでは身につかないので、この場で作れるようにしました。4つの欄を埋めると、そのまま貼り付けられる指示文になります。

まず「例を入れる」を押して、どう変わるかを見てください。

プロンプト組み立てツール 入力はこのページの中だけで処理され、どこにも送信されません
例を入れる:
できあがったプロンプト

全部埋める必要はありません。埋めた項目だけが反映されます。

覚えておくと楽になること

一度で完成させようとしない

良い指示を書いても、一発で理想の答えが出ることは稀です。返ってきたものに対して「もっと短く」「その部分を詳しく」と足していくほうが速い。 最初から完璧な指示を考える時間のほうがもったいないです。

うまくいった指示は保存する

同じ種類の仕事は繰り返し発生します。うまくいった指示文をメモしておき、次回は中身だけ差し替える。これだけで毎回考える手間がなくなります。

次回は、この型が効かない場面と、そこでの対処を扱います。

確認問題

  1. Q1具体的な指示を書くと回答の質が上がる理由として、正しいものはどれですか。

  2. Q2指示に「相手(誰が読むか)」を書くと、特に何が変わりますか。

  3. Q3良い指示を書いたのに、返ってきた答えが理想と少し違いました。最も効率的な対応はどれですか。

確認問題に全問正解すると完了にできます