AIへの指示文(プロンプト)の書き方基本ガイド
ChatGPTやClaudeを使ってみたものの、「思ったような答えが返ってこない」と感じたことはありませんか?実は、AIの回答の質は「どう聞くか」で大きく変わります。AIへの指示文は「プロンプト」と呼ばれ、その書き方にはいくつかの基本的なコツがあります。
この記事では、特別な知識がなくても今日から使えるプロンプトの基本の型を紹介します。
基本の型: 目的・条件・形式
AIは、与えられた文章から「何を求められているか」を推測して回答を組み立てます。指示があいまいだと、AIは当たり障りのない一般的な回答を返しがちです。逆に、目的や条件がはっきりしていれば、それに沿った具体的な回答が返ってきやすくなります。人に仕事を頼むときと同じで、「いい感じにやっておいて」より「誰向けに・何のために・どんな形で」を伝えたほうが、期待に近い結果になります。
そのために意識したいのが、次の3要素です。
- 目的: 何のために使うのか(例: 社内会議の案内メールを書きたい)
- 条件: 前提や制約(例: 敬語で、300字以内で、金曜開催)
- 形式: 出力してほしい形(例: 件名と本文を分けて、箇条書きで)
この3つが入っているかどうかで、AIがやることは大きく変わります。
実際にどう変わるか、具体的な業務場面で見てみましょう。取引先への値上げ交渉メールの下書きを頼む場合を例にします。
悪い例(コピペ用)
値上げのお知らせメールを書いて
これだけでは、誰にどんな事情で伝えるのかAIには分かりません。当たり障りのない一般的な文面が返ってくるだけで、そのままでは使えないことがほとんどです。
良い例(コピペ用)
取引先の担当者様宛てに、原材料費の上昇にともなう単価改定のお知らせメールを書いてください。
対象: 長年取引のある仕入先の担当者
条件: 丁寧な言い回しで、一方的な印象を与えない。改定時期は来月1日から。値上げ幅の具体的な数字には触れず「詳細は添付資料をご確認ください」と誘導する。300字程度。
形式: 件名と本文を分ける。本文は「日頃の感謝→背景説明→依頼→結びの挨拶」の順で構成する。
対象・条件・形式のどれか一つでも欠けると、AIはその部分を推測で埋めます。埋めた部分が意図とずれるほど、直しの往復が増えるので、迷ったら先に書き出しておくのが結局は早道です。
実際に組み立ててみる
読むだけでは身につかないので、この場で作れるようにしました。下のツールには4つの欄があります。まず「例を入れる」を押して、どう変わるかを見てください。 そのあと、自分の用途に書き換えるのが早いです。
4つの欄は、それぞれ次の役割を持っています。全部埋める必要はなく、埋めた項目だけがプロンプトに反映されます。
| 欄 | 何を書くか | 記入例 |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために使うか | 取引先へ納期変更のお詫びを送る |
| 相手 | 誰が読むか | 取引先の担当者(面識あり) |
| 条件 | 守ってほしいこと | 丁寧すぎない敬語で。代替案を必ず添える |
| 形式 | どんな形で出すか | 件名と本文に分ける。250字程度 |
「相手」は目的・条件・形式のどれにも属さないように見えますが、実は回答の丁寧さや専門用語の量を左右する重要な欄です。同じ「値上げの説明」でも、相手が取引先か社内の後輩かで、選ぶ言葉づかいはまったく変わります。
悪い例と良い例を比べてみましょう。
- 悪い例: 「メールを書いて」
- 良い例: 「社内の定例会議の日程変更を知らせるメールを書いてください。宛先は部署のメンバー、来週金曜15時に変更、敬語で200字程度、件名も付けてください」
慣れてきたら、自分がよく使う条件(社名を出さない、常体で書く、など)をメモしておいて使い回すと、毎回考えずに済みます。ChatGPTもClaudeも、こうした基本の型は共通して有効です。まずは普段使っているツールで試してみてください。
場面別に見る、悪い指示と良い指示
「目的・条件・形式」を意識すると言われても、具体的にどう変わるのかイメージしづらいこともあります。よくある業務場面で比べてみましょう。
| 場面 | 悪い指示の例 | 良い指示の例 |
|---|---|---|
| 要約 | 「これ要約して」 | 「次の文章を、結論から先に書く形で、専門用語を避けて要約して」 |
| メール作成 | 「メール書いて」 | 「取引先への納期変更のお詫びメールを、丁寧な言葉遣いで、件名も添えて書いて」 |
| 資料のたたき台 | 「資料作って」 | 「新入社員向け研修資料のたたき台を、スライド5枚分の構成案として、専門用語を避けて作って」 |
| アイデア出し | 「アイデア出して」 | 「文化祭の出し物について、準備の手間が少ない案を、理由つきで挙げて」 |
| 言い換え | 「わかりやすくして」 | 「この文章を、専門知識がない人にも伝わる言葉に置き換えて。専門用語には簡単な説明を添えて」 |
| 調べ物の相談 | 「〇〇について教えて」 | 「〇〇について、初心者がまず知っておくべき順番で説明して」 |
どの例も、悪い指示は「何をしてほしいか」しか書かれていないのに対し、良い指示は「誰に向けて」「どんな形で」「何を避けてほしいか」まで含んでいるのがわかります。自分の仕事でよく使う場面をこの表の形式に当てはめて、あらかじめ「良い指示」のテンプレートを作っておくと、次に使うときの手間が減ります。
改善のテクニックとうまくいかないときの直し方
基本の型に慣れたら、次のテクニックも試してみてください。
- 役割を与える: 「あなたはベテランの編集者です」のように前置きすると、回答の視点が安定します
- 例を見せる: 「こんな雰囲気で」と見本を1つ貼ると、文体やフォーマットを合わせてくれます
- 段階を分ける: 長い作業は「まず構成案だけ出して」と分割すると、軌道修正がしやすくなります
- 追加で直してもらう: 一発で完璧を狙わず、「もっと短く」「専門用語を減らして」と会話で調整するのが近道です
とはいえ、これらを使っても思った通りの答えが返ってこないことはあります。そのときはプロンプトを一から書き直す前に、症状に応じた直し方を試してみてください。
| 症状 | 原因になりやすいこと | 直し方 |
|---|---|---|
| 回答が漠然としている | 目的・条件が抽象的なまま | 「目的」と「条件」をもう一段具体的にする。誰向けの文章か、何のために使うのかを言葉にして付け加える |
| 回答が長すぎる・短すぎる | 分量の指定が数字だけ | 「箇条書きで」「見出しを立てずに一段落で」のように、形で指定し直すと安定しやすい |
| 話がずれていく | 会話が続くうちに前提が薄まる | 最初の目的をもう一度書き直して伝え直す |
| 専門用語が多くて読みにくい | 読み手が指定されていない | 「対象読者は〇〇です」と読み手を明示し、「専門用語には言い換えを添えて」と付け加える |
| 毎回同じ言い直しをしている | 条件をその場で考え直している | よく使う条件や役割設定はメモしておき、次の会話の最初に貼り付ける |
一度で完璧な指示を書こうとせず、返ってきた答えを見ながら少しずつ直していくのが、結果的に近道になります。
やってはいけないこと
プロンプトの工夫と同時に、注意点も押さえておきましょう。
- 個人情報や社外秘の情報をそのまま入力しない: 取引先名、顧客の連絡先、契約条件などをプロンプトに貼り付けると、意図せず外部のサービスに渡ることになります。固有名詞を伏せ字にしてから入力する習慣をつけましょう
- AIの回答を鵜呑みにせず、重要な内容は必ず自分で確認する: もっともらしい誤りが混ざることがあります。数字や固有名詞、日付は特に注意して見直してください
- 「絶対に正しい答えを出して」と書いても正確性は保証されません: プロンプトの工夫で回答の質は上げられますが、事実確認は最終的に人間の仕事です
まとめ
プロンプトの上達に、特別な才能は必要ありません。「目的・条件・形式」の3点を意識して書き、返ってきた回答に追加の指示で磨きをかける — この繰り返しだけで、AIは日々の作業の頼れる相棒になります。
長文の資料を扱う作業や丁寧な文章の調整には、長い文脈の読解を得意とするClaudeを使い分けるのもおすすめです。
ここで身につけた「目的・条件・形式」の考え方は、目標を渡して自律的に動かすAIエージェントにもそのまま応用できます。
なお、AIツールを活用する際はプライバシー面への配慮も大切です。AIと個人情報|入力していいこと・ダメなことで、安全な使い方について詳しく解説しています。