AI文字起こしツール比較|Notta Memo・Brain・Plaud
会議やヒアリングの内容を「あとで見返せる形」に残す作業は、地味ながら時間がかかるものです。最近はAIが音声を自動でテキスト化し、要点の整理まで手伝ってくれるツールが増えてきました。
ただ、機能の一覧を眺めて選ぶと、使ってみたら自分の場面に合わなかった、ということが起こりがちです。この記事では、同じNottaシリーズのNotta MemoとNotta Brain、携帯型デバイスのPlaudの3つを例に、「どんな場面で使うか」から道具を選ぶ考え方を整理します。各ツールの機能・料金・対応言語・精度は変更されることがあるため、具体的な内容は必ず公式サイトでご確認ください。この記事では、それらを断定せず、選び方の筋道に絞って書いています。
まず「どの場面で録るか」から考える
文字起こしツール選びで最初にやることは、製品名を見る前に、自分が音声を残したい場面を書き出すことです。同じ「録音して文字にする」でも、場面によって困りごとが違います。
- 対面の打ち合わせ:机の上に置けるか、相手に気づかれやすいか、PCを開かずに済むかが問題になります
- オンライン会議:音声はすでにPCやスマホの中にあるので、録音そのものより「参加者への知らせ方」と「記録をどこに保存するか」が中心になります
- 取材・ヒアリング:相手の話し方や声の大きさに左右されます。固有名詞や専門用語が多く、あとで聞き直すことも多い場面です
- 講義・セミナー:話し手との距離が遠く、長時間になりがちです。録音する許可が必要な場合もあります
- ひとりの音声メモ:移動中や歩きながら、思いついたことを残します。すぐ取り出せることが大切です
次に、道具をおおまかに3つのタイプに分けて考えます。
- スマホのアプリ型:すでに持っている端末で始められ、オンライン会議との相性を考えやすいタイプです
- 録音専用の機器型:PCやスマホの操作をしなくても録音を始められる、携帯性を重視したタイプです
- 録ったあとの整理・要約を重視するタイプ:文字起こしの先で、内容をまとめ直したり資料の形にしたりする作業を助けるタイプです
場面とタイプを対応させると、次の表のようになります。あくまで考え方の目安で、実際の製品がどれに当たるか、どこまでできるかは公式サイトで確かめてください。
| 場面 | 重視すること | 候補になりやすいタイプ |
|---|---|---|
| 対面の打ち合わせ | 手軽さ、相手への配慮、音の拾いやすさ | 録音専用の機器型、スマホのアプリ型 |
| オンライン会議 | 保存場所、参加者への知らせ方 | スマホ・PCのアプリ型 |
| 取材・ヒアリング | 聞き取りやすさ、聞き直しやすさ | 録音専用の機器型、整理重視型 |
| 講義・セミナー | 長時間の録音、距離のある声 | 録音専用の機器型 |
| ひとりの音声メモ | すぐ録れること、あとで探せること | スマホのアプリ型、録音専用の機器型 |
| 複数回の会議をまとめたい | 録ったあとの整理のしやすさ | 整理・要約重視型 |
複数の場面にまたがる場合は、いちばん頻度が高く、いちばん記録に困っている場面を基準にします。全部をカバーしようとして1つの道具に多くを求めると、どの場面でも中途半端になりやすいためです。
会議の記録を軽くしたいとき|Notta Memo
Notta Memoは、会議やオンライン通話の音声を文字起こしし、内容を要約するタイプのツールとして案内されています。議事録づくりの手間を減らしたい場面で、候補になるタイプです。
選ぶときの考え方は、「いまの議事録づくりで、どの工程がいちばん重いか」を確かめることです。
- 会議中にメモを取るのに追われて、議論に集中できない
- 会議のあとで録音を聞き直して、文章に起こすのに手間がかかる
- 決まったことと担当者を、あとから探し出すのが大変
この中でも、特に「会議中のメモ」と「聞き直して起こす作業」が重いなら、文字起こしと要約をまとめて任せるタイプが候補になります。反対に、会議の人数が少なく、決定事項を数行にまとめれば足りる場面なら、ツールを入れるより、会議の最後に決定事項を口頭で確認するほうが早いこともあります。
オンライン会議と対面の会議では、気にする点が変わります。オンラインでは、参加者全員の声がきれいに入るかよりも、録音と文字起こしについて参加者に先に伝えられるかが大切です。対面では、机の上のどこに置くか、複数人の声が重なったときにどう聞き取れるかが問題になります。
文字起こしの結果は、そのまま使わずに、固有名詞や数字を人が見直す前提で使います。直し方の手順はAI文字起こしがうまくいかないときの直し方にまとめています。対応する場面や言語は製品によって異なるため、詳しい範囲は公式サイトでご確認ください。
録ったあとの整理を重視するとき|Notta Brain
Notta Brainは、Nottaに記録した会議や商談の内容と手元の資料をもとに、質問に答えたり資料の下書きを作ったりするAIエージェントとして案内されています。文字起こしの「先」の工程を助けるタイプです。
このタイプが合うかどうかは、「文字起こしはできているのに、そこから先で止まっていないか」で判断できます。
- 録音も文字起こしもあるが、読み返す時間がなくて放置している
- 数回に分かれた打ち合わせの内容を、1つの報告書にまとめる必要がある
- 議事録のあとに、提案書や共有メモを作る作業が続く
こうした悩みがあれば、整理を重視するタイプを検討する意味があります。逆に、文字起こしを読み返す習慣がまだない段階では、先に整理ツールを入れても使いこなせないことがあります。最初は文字起こしだけで運用して、「どこで手が止まるか」を確かめてから足すほうが、無駄が出にくくなります。
整理や要約をどこまでツールに任せるかも、事前に決めておきたい点です。要約には、話し手が言っていないことが紛れたり、大事な但し書きが落ちたりする可能性があります。そのため、数字・日付・担当者・金額は、原文の文字起こしや録音に戻って確かめる運用にしておくと安心です。ChatGPTのような対話型AIに文字起こし結果を貼って要約させる使い方もありますが、その場合は、貼る前に個人情報や社外秘が含まれていないかを確認してください。指示の出し方はAIへの指示文(プロンプト)の書き方基本ガイドが参考になります。議事録全体の整え方はAI議事録・メモ術で会議を効率化にもまとめています。
具体的にどこまでの整理・分析ができるかは変わる可能性があるため、公式サイトで最新の情報をご確認ください。
対面や外出先で録るとき|Plaud
Plaudは、携帯できる録音デバイスとアプリを組み合わせたプロダクトとして知られています。PCを開きにくい対面の打ち合わせや、外出先、移動中のメモ取りなどで候補になるタイプです。
録音専用の機器型を考えるときは、次のような場面を思い浮かべると判断しやすくなります。
- 取引先との打ち合わせで、ノートPCを開くと相手との距離ができてしまう
- 現場や店頭での立ち話を、あとで正確に思い出したい
- 移動中に思いついたことを、画面を操作せずに残したい
こうした場面では、スマホを机に置いて録音アプリを動かす方法と、専用機器を使う方法のどちらが自然かを考えます。スマホは通知や通話で録音が途切れないかが気になりますし、専用機器は持ち歩く荷物が1つ増えます。どちらが合うかは、持ち物の習慣や打ち合わせの場の雰囲気によって変わります。
ここでいちばん気をつけたいのは、対面での録音は相手の同意や周囲への配慮が欠かせないという点です。相手に何を、どのタイミングで伝えるかは、会議をAIで録音する前に確認しておきたいことで整理しています。録音を始める前に、「記録のために録音してよいか」「録音データをどこに保存し、誰に共有するか」を一言伝える習慣をつけておくと、あとのトラブルを避けやすくなります。
機能や対応する使い方の詳細は公式サイトをご確認ください。
専用の録音機器を買うかどうか迷っているなら、AIレコーダーは必要?3年総額と用途で診断で、月にどれくらい録音するか、スマホの録音で代わりにならないか、本体と継続費用を合わせた3年間の総額はいくらかを、買う前に確かめられます。
導入前に試して確かめること
どのツールを選ぶ場合でも、本番の会議にいきなり使うのは避けて、まず自分の環境で試します。試すときに確かめたいことは、次のとおりです。
- 自分の話し方や環境で聞き取れるか:いつもの会議室、いつもの声の大きさ、いつもの専門用語で録音して、文字起こしの結果を読み比べます。早口、小声、複数人の同時発話、周囲の雑音がある場面を、あえて混ぜて試すと弱点が見えます
- 固有名詞や専門用語が拾われるか:社名、人名、製品名、略語を含む短い文を話してみます。拾えない言葉が多いなら、あとで直す手間を見込んでおきます
- 録音データの保存場所と共有範囲:録音と文字起こしが、どこに、どれくらいの期間保存されるのか。共有リンクを作ったとき、誰が見られるのか。削除したいとき、どう操作するのか。これらは公式サイトの規約やヘルプで確かめます
- 社内ルールとの整合:会社や学校によって、外部サービスに音声を預けてよいかのルールが異なります。取引先との打ち合わせや、個人情報を含む相談の録音は、上長や情報システム担当者に先に確認します
- 録音を伝えるときの言葉:「議事録作成のために録音します。保存先は〇〇で、共有は参加者のみです」のように、そのまま伝えられる文を用意しておきます
- 見直しにかかる時間:文字起こしを読み、直し、要約を確かめるのに、実際にどれくらい手間がかかったかを記録します。手作業の議事録と比べて、本当に楽になったかを自分で判断します
試した結果は、次のように簡単な表にしておくと、複数のツールを比べるときに役立ちます。
| 確かめた項目 | 〇・△・× | メモ |
|---|---|---|
| 小声・早口の聞き取り | ||
| 専門用語・固有名詞 | ||
| 保存場所と共有範囲の理解 | ||
| 社内ルールとの整合 | ||
| 見直しにかかった手間 |
試せる範囲や条件は製品ごとに違い、変わることもあるため、公式サイトでご確認ください。有料プランに進む前に、上の表の「△」「×」が自分にとって許せる範囲かを見ておくことをおすすめします。
IPA(情報処理推進機構)は情報セキュリティに関する資料を公開しています。録音データの扱いを社内で決めるときの参考になります。
まとめ
AI文字起こしツールは、機能の多さよりも、自分の場面に合うかどうかで選ぶほうが失敗しにくくなります。会議の記録の手間を軽くしたいなら文字起こしと要約を中心にしたタイプ、録ったあとの整理や資料化まで助けてほしいなら整理重視のタイプ、PCを開きにくい対面や外出先なら録音専用の機器型、というのが考え方の出発点です。
そのうえで、導入前に自分の話し方と環境で試し、保存場所と共有範囲、社内ルールを確かめ、録音を相手に伝える言葉を用意しておきます。この3つが整っていれば、どの道具を選んでも、使い始めてから困る場面は減らせます。
どれか1つに決めきれないときは、いちばん記録に困っている場面だけを対象に、1つのツールを短い期間だけ試してみてください。使い続けるか、別のタイプに切り替えるかは、その結果を見てから決めて遅くありません。最新の機能・料金・対応言語は、各ツールの公式サイトでご確認ください。